明るい生活の暗い日記

スピードが足りない

230322

えらいもんを見た。WBCで日本が優勝した。8回にダルビッシュが起用された時にはヒヤヒヤさせられ、シュワーバーにホームランを打たれる前から明らかに捉えられている感じがあったが、結果的には1失点でリードを保ちつつ劇的な展開を演出していた。そう、戦術的な合理性よりもナラティブが2階の合理性として機能したのだ。精神論だと揶揄されるのかもしれないが、短期的に見た場合に精神的高揚がパフォーマンスにもたらす正の効果は測り知れず、ここで言う2階の合理性とはそのもう一段階上を行くような、言葉にし難い力を持ったものであるように思う。記者会見で杉谷が栗山に「ストーリーを意識していたのか?」というような質問をして、栗山に苦笑されていたが、彼の疑問は至極真っ当なものであるように思えた。いやーしかし、WBCというMLBの金儲けの為の大会で、第5回にしてようやくオールスターと言っても過言ではないメンバーを揃えたアメリカに対して、決勝戦1点リードの9回のマウンドにMLBで前例のない投打の二刀流でMVPを獲った日本人が泥だらけの姿でマウンドに立ち、同じクラブチームの主砲から空振り三振を奪って優勝を決めるというのはほんまに凄いことだわね。ドラマやん。9回のゲッツーとトラウトからの奪三振、両方ともオッ!て声が出ちゃったもの。ナショナリズムをスポーツに持ち込むのはいかがなものかというような思いもあるものの、アメリカと日本の野球の歴史だけを見ても痛快な試合であったことは言うまでもない。インタビューで受け答えをすることが多かったダルビッシュや大谷が妙な日本の持ち上げをしなかったところも本当によかった。野球文化が豊かであることを願った、強く優しい人達だと思わされた。しかし、メディアが言いたいことありきの質問いうのはほんまにやらしいわね。そういう需要はヌードバーが満たしてくれたのだろうが。彼の発言には一定の外部性(当然彼は日本代表の素晴らしい選手だ)があり、彼にとって日本代表として過ごした時間がかけがえのないものであったことがわかる。それ以上のことはわからないが。テレビが1日中WBCのこと言うてて、お祭りみたいだった。平日に余裕でテレビ見れるフリーターでよかった!

おわり