明るい生活の暗い日記

スピードが足りない

230615

グリーンに勧められた『推しの子』を読む。めちゃくちゃ面白い。侮っていた。推しだ転生だと流行りのバズりやすそうな要素を詰め込んだ作品がうまく時流に乗ったのだろうと、そう思っていた。違った。推しである為に吐かれる嘘は仮面、前世と現世を繋ぐ転生は影として機能し、そのインタラクションがサスペンスドラマをより立体的に魅せることに繋がっている。転生系作品の隆盛は、努力も無しに認められるユートピアがどこかにあるのではないかという空虚な希望に縋りたい読者の存在によって生じていると思っていたことから、本作も御多分に洩れずそうなのだろうと信じて疑っていなかった。しかし、転生は本作において、主人公を追い詰める影となり、単なる舞台装置に留まらない物語上の必然性を有している。読者の為ではなく、登場人物の為に転生が生じているのだ。いやあ、面白い。面白すぎて通勤中と帰ってからで一気に読んでしまった。眠たい。推しという概念は、推す側が関係性において当然生じる責任から逃れているので嫌いなのだけれど、その嫌な感じをきちんと取り扱ってくれているのも好感触だった。

全話初回無料 どうでも良いが主人公である医者の守秘義務に対する姿勢が杜撰で、後々のクレバーな振る舞いとのギャップに少し困惑する

なんかあったっけな。銀城空吾と黒崎一護が空(null=0)吾(5)と一(1)護(5)で、名前で数字遊びしてるねーというようなことを思った。グリーンはBLEACH1期のアニメを見直しているらしい。演出と作画が本当にダメなアレを2023年に見るのはすごいことだ。

『自意識とポートレート』という東京藝大の博論を勤務の合間に読む。読むとはいったものの、本当にさわりのところしか読めていない。面白そうな題材だが、理解できるだろうか。博論やしな、無理かもしらんな。

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著者のツイートは面白い

モデル候補の人に好きな映画を尋ねられて、犬童一心のジョゼ虎と答えようとして、思いとどまる。もう新規にテキストを書き起こす気力がないのでLINEで送ったメッセージをペーストする。

好きな映画、今までは『ジョゼと虎と魚たち』(犬童一心の実写版)と答えていたのですが、改めて問われるとほんまにそうなんかな〜という気がしてきました。以下にその理由をなるだけネタバレに配慮して述べてみますね。
この作品は所謂普通の20代前半男性と身体障害者女性の恋愛を軸にストーリーが展開します。障害者に妙な下駄を履かせることで健常者基準で対等以上の存在にさせる、臭い物に蓋をするような描写はそこには無く、淡々と健常者男性と身障者女性の恋愛を描く作風に残酷なまでに誠実なリアリティを感じていた為に、かつてはこの作品を最も好きな映画として挙げていました。
しかし、社会的にも身体的にも優位な男性の視点から描かれるそのありふれたストーリーは新自由主義的であり、そのようなイデオロギーに対する批判的な姿勢に今ひとつ欠けているのではないか?と最近になって思うようになりました。
数年前に公開されたアニメ版には、その点が払拭されているかもしれないと期待を寄せていました。ですが、こちらは障害者に特別な才を与えることで健常者と対等以上の存在にするという、冒頭で批判したような描写が作品の根幹としてあり、観客の救済者願望を賦活するだけの陳腐な作品であったように思います。
それでも、身障者の生き様や社会的な扱いを生々しく描き、単なる舞台装置としない魅力的な作品は管見の限りではそう多くなく、邦画史における一つのマイルストーンとして、また多感な時期に観た思い入れのあるものとして、今後も好きな作品であり続けるのだろうと思っております。
既にご覧になられていたら、こんなまわりくどくわかりにくい説明を読ませてしまってすみません。池脇千鶴上野樹里のやり取りが特に好きです。

美容師がやってるTwitterアカウントを発見、フォローしよかな。

昔友達が働いていたライブハウスのスタッフが、当時名乗っていた名前を覚えてくれていた。嬉しかった。

おわり