明るい生活の暗い日記

スピードが足りない

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職場2の1年目で一緒だった人が亡くなっていた。タバコ臭く筋肉質で釣りとゴルフが趣味の中年男性。キショバカと2人のときにその人の話になり、「今頃何してるんでしょうね〜」みたいなことをうちが言うたら、こっそりと教えられた。キショバカが中年男性が退職して半年程経った頃に連絡を取ろうと試みたところ、姉を名乗る人物から亡くなった旨を伝えられたらしい。そうですか、とその場で手を合わせた。

バレンタインデーが誕生日で、そのことを気恥ずかしく思っていた中年男性。よくシャツから乳首が透けていた中年男性。スーツ用のジャケットをカジュアルジャケットのように羽織っていた中年男性。ワークマンの足袋のような靴を愛用していた中年男性。職場の男子トイレが埋まっていたら空いている女子トイレで用を足していた中年男性。主に女性からの評価が芳しくなかった中年男性。コロナ禍で世間がピリピリしていた中、個包装されていないスナック菓子を分け与えようとしてきた中年男性。昼休憩はソファで眠っていた中年男性。ウエストポーチにピンポン玉を常備していた中年男性。社内研修の内容が薄く、題材にまつわる話を色々としていたら「君の話の方が余程為になるな」と言っていた中年男性。うちがミスしたときに先達らしく諭してくれていた中年男性。何故かうちのことを気に入っていた中年男性。最後に出勤が被った日の帰り道で、サッポロ一番は塩味と味噌味のどちらが美味しいかうちと口論になり、「塩!」とうちが叫ぶと「味噌!」と叫びながら手を振り踏切の向こうの喫煙所へ消えていった中年男性。安らかに。

おわり