明るい生活の暗い日記

スピードが足りない

221112

小学1年生か2年生の頃、夏休みの自由研究に紙粘土でトトロを作った。乾燥して固まったそれを見て、「もう取れないの?」と腕を指差し尋ねた。塗布した絵の具のことだと思った父親は「取れないよ」と返事をしたので、じゃあ試しにと力を込めてトトロの腕を握ると、多少の抵抗感の後にボキッと折れた。「取れるやんか」とわたしが言うと、父は大層な剣幕でわたしを怒った。あの時、父親はわたしを怒ってくれたが、大人になってもこんなことをしていると愛想を尽かされてしまうということがわかった。わかるのが遅かった。半休を取って夜の予定もパスして洗濯機を回す。自分のことはもっと冷たく渇いた人間だと思っていた。腕を折られたトトロの痛みは、きっとこんなものでは済まなかったのだろう。