明るい生活の暗い日記

スピードが足りない

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あにお天湯氏のチェキ会へ行った。休みの日とうまく被っており、かつ京橋のスタジオでの開催ということで、東京に拠点を置く彼女に謁見を賜るまたとない機会に思え、足を運ぶことにした。

あにお氏のことはミスiDの頃から知ってはいたのだけれど、グラビア活動を始めてからのツイートがとても面白く、そこでより興味を持ってファンになったことを覚えている。

彼女を知るまでは、グラビアは身体性に重きを置いた、もっと言えばそれ以外は求められない仕事だと思っていた。それは男性の性的欲求を金銭に変え相互に搾取し合うものでありながら、グラビアアイドルたる女性は金銭では代替不能かつ不可逆な若さや尊厳といったものを消費される、歪な構造の下にあると、言葉にするまでもなく信じて疑わなかった。その通念に対して、あにお氏は風穴を開けようとしているように見えた。

「肉体は魂の器に過ぎない」というような言説がある。それ自体はごくありふれたものなのだが、あにお氏はそのような旨のツイートを度々行っていた。身体性を売りにするはずのグラビアアイドルがそういった発言をしていることが、やけに面白く思えた。

グラビアアイドルが「私で抜いたなんて言わないでください!」というようなメッセージをファンに対して発信することがある。グラビアに明るくないので具体的にいつの誰がどうとは言えないが、そういうことがしばしば起こるというのは耳にすることがある。そういったものを見聞きする度に、男性の自慰に使われてしまうことは織り込み済みのお仕事でしょうに……とも、だとしてグラビアアイドルという極めて絶妙なラインをいく彼女達に「抜きました」と報告する男性のデリカシーの無さにはドン引き……とも思わされてきた。そんなどうしようもない繰り返しの中で、あにお氏は「抜ける抜けない以外のものがあるでしょうよ」と根本を覆すようなことを言っていたのだ。

実際、彼女の活動は目新しいように思えた。どのようにすれば身体が美しく見えるかを考えるのは勿論のこと、単なる肌の露出に止まらないファッショナブルなアプローチや、詩性からあにお氏の世界観を拡張するような手法も採っていた。先のファッションに関しても、画一的な清楚像をなぞるのではなく、彼女自身が良いと思ったのであろう色とりどりの可愛いが散りばめられており、ピンク色に染めた腋毛は一つの極北だろう。それらが猥雑でないエロさ、女性の身体の美しさ、生命力、神秘的なものと合わさって、無二の表現として魂を揺さぶってくるような、そんな印象を受ける。

あにお氏の活動が通念を打ち砕く力があるかはわからない。ともすると、既存の枠組みの中でカウンターとして消費されてしまうかもしれない。それでも彼女が標榜するような美しさは確かにあって、わたしはそれを感じているつもりで、安易に消費されるべきではないものだとも感じている。だからこそ、彼女の活動を支持する為にも微力ながら金銭を支払うべきだろうと思い、チェキ会へと向かった。

スタジオに入ると、あにお氏とお友達風のスタッフ2人と先客がいた。先客が退出し、お喋りをしながら写真を撮ってもらう。関西弁が珍しいのか、喋ること一つ一つにスタッフと一緒にウケてくれる。えらい気使われてるな、と思った。名前を尋ねられ、「明るい生活いう名前でTwitterやってます」と言うと「あ〜明るい生活!」「ルキアアイコンの!」「毎日ブログ書いてるよね?」と言われて驚く。リプライを飛ばしてコミュニケーションを図るようなファンではないのに、覚えているというか、アカウントを見に行くものなんだな。「わたしのことめっちゃ好きでしょ?」と言われて、「そう!めっちゃ好き!」と肯定する。先述の内容をギュッと縮めて「魂を揺さぶるようなアプローチが好きだ」というような返事をしたら、「魂無いとグラビアやれないからね」と返ってくる。話題はすぐに別のものへと移り変わったが、やっぱあにお氏はかっこええな……と思わされた。

物が欲しいタイプのファンではないのでチェキにも特に興味は無かったが、あにお氏が何らかの思いを込めて何かを書き綴ったものを受け取れるということには相応の価値を感じた。しかし思うに、1枚1000円や2000円のチェキで支えられる部分など極々僅かで、チェキ会はファンとの交流に重きを置いたサービスのような活動なのだろう。それ故にこそ、あにお氏の誠実さを感じた。DMMで買える写真集とnoteくらいでしか彼女の活動を支援するようなことがこれまではできなかったが、今後もこのような機会があれば参加したいと思う。

今までは画面の向こうの存在として、虚構と実存の狭間のようなイメージがあったあにお氏と対面することができた。喜びも悲しみも他者との交わりの中にあるが、最も感情の強度が確かなものになるのは対面を置いて他に無いだろう。大阪に来てもらえて嬉しかった。また来てもらえるといいな。

f:id:Halprogram:20221124005157j:image京橋 グランシャトー ツーチェキを載せようかと思ったが賜り物を無闇に公開するのも不粋な気がしてやめにした 他の人は好きにしたらいいが

しかしあにお氏はかわゆかった。ガーリーとギャルの狭間をいく感じ。昔は撮影会イベントをやっていたみたいだけれど、水着じゃなくてとびきりのおしゃれをしたあにお氏を撮らせてもらえるようなイベントがあったら嬉しいなあ……と思わされた。彼女のお友達が羨ましいね。

おわり