明るい生活の暗い日記

スピードが足りない

221124

近所に住む友達とお茶をした。この調子でいけば、今の彼氏と結婚しそうだというような話をしていた。それを聞いて、何故か目が潤んでしまった。何故か、ではない。理由は明白だった。

彼女は波と付き合いのある人だった。それは外的要因によって訪れたり、あるいは理由もなくもたらされたりするもので、彼女はそれに乗ったり飲まれたりしていた。彼女にとって結婚は、波を小さくして制御することや、波の来ない島に拠点を構えるようなことに等しく、自身でも「逃げた」と表現していた。わたしは、彼女が波から逃げない人だと勝手に思っていた。程度に違いはあれど、共に波に抗う者であり、ともすれば、友人知人の中で最も波を自身の糧としている人だと信じていた。彼女は波から逃れた自身のことを許していると言っていたが、報告を受けて言葉に詰まったわたしを見て、許せない自分と重ねてしまっただろうか。わたしは上手に祝福の言葉を述べれていただろうか。

「まだ波の中にいるxxにこれを言うかは迷った」「ごめんね」と気遣いをさせてしまった。波との付き合い方を変える彼女自身もまた、その適応に追われていると言うのに。わたしはいつか波を乗りこなせるようになるだろうか、あるいはどこかの島に辿り着くことができるだろうか。山に囲われて海の見えない京都市でそんなことを考えていた。

おわり