明るい生活の暗い日記

スピードが足りない

220517

通勤電車が最寄駅を発つ30分前に目が覚める。慌ててシャワーに駆け込み、適当なカットソーやら何やらを纏い家を飛び出す。濡れた髪をタオルドライで誤魔化す、また美容師に怒られてしまいそうだ。

火曜日のバイトは通勤に1時間程度かかるものの、大体30分の勤務で5000円が戴けるので割がいい。かと思いきや、交通費は出ないわ月末の出勤日は報告書を提出しにより遠方まで出なければならないわで、端的にやり甲斐搾取を受けている。世話になった先生に紹介された仕事であることと、普段のバイトが専門職のキャリアとして今一つであることから、こちらのバイトを辞められないでいる。

帰りの電車を降りて、駅のベンチに腰掛けたまま動けなくなってしまった。何がそうさせたのかもわからないが、とにかく家に帰りたいのに立ち上がれない。帰ったら王将パーティをするんだ!と奮い立たせて、近くの餃子の王将へテイクアウトの予約の電話を入れる。15分後に店に来てくれとのことだったので、間に合うように逆算して重い腰をどうにか上げた。立ち上がることが難しければ、立ち上がる為の簡単な準備から始め、更に立ち上がる行為に報酬を設けるとよい。かの有名なスモールステップとトークンの合わせ技だ。心理学部卒っぽいでしょう。

一度歩みを進めると、案外足は動き続ける。王将で大盛炒飯とニンニクゼロ餃子2人前を受け取り、ファミリーマートジャスミン茶2Lを買い、歩いて家まで帰った。途中、家の近所でよく見かける小学生の頃の友達のおばあちゃんを、家からは少し離れた商店街で見かけた。声をかけるには遠く、アイコンタクトを取った後に軽く会釈をした。このおばあちゃん、20年前からずっと同じ感じでおばあちゃんなんだけれど、どうなっているんだ。

仮に、このおばあちゃんにもしものことがあったとして、それを知ることはできないだろう。近所で時々顔を合わせ世間話をするだけの間柄なので、連絡先も正確な住所も知らない。わたしもいつまで京都にいるかわからない。いつの間にか、そういえばしばらく顔を見ていないな、と思わされ、元気かどうか確かめる術もなく、そういうものとして受け入れていかざるを得なくなるのだ。母方の祖父が亡くなった際は、遺体を家に連れて帰り開きっぱなしにしていた玄関を見た近所の人が、声をかけてくれた。祖父の死を知り、涙を流してくれていた。祖父はあの人とどのような関係を築いたのだろうか。

わたしが死んだら、泣いてくれる人はいるのかな、と思うことがあった。無職や院生の、他者との関わりが希薄になり始めた頃に、そういうことをよく考えた。これからどんどん人と疎遠になっていく中で、他者の人生に良い存在として爪痕を残すには今すぐ死ぬしかないと思っていた時期があったが、最早疎遠になり過ぎて機を逸してしまった。本気ですぐにでも死んでやろう!と思っていたわけでもなかったが、今にして思えばものすごくボーダーっぽい態度だ。ここまで読んでくれている皆様におかれましては、わたしが死んだと聞いたら2,3分程思い出を振り返ってどんよりとした気分を味わった後に、普段通りの生活に戻っていただけますと幸いです。

家に帰って炒飯と餃子をドカ食い。こんな生活がしたいわけではないのに、こういう風にしかできない。

全国ネットのテレビ番組が、視聴者が首都圏在住であることを前提としているかのような内容で苛立つ。数としては首都圏外の人口の方が多いのに、マイノリティのような扱いを受ける構造がある。ネット放送しているというだけで、全国に向けた番組ではないのだろうな、とすることで溜飲を下げる。関西ローカルの面白い番組だけを観ていたい。

人からの厚意を無碍にしていたことに気づく。ごめんね。

Kindleハッピーマニアの1巻を読んだ。重田加代子って、おれか?久しぶりに漫画を読んだ。面白いので続きもいずれ読みたいわね。

おわり