明るい生活の暗い日記

スピードが足りない

221119

このところ毎日寂しくて仕方がない。起き抜けにシャワーを浴びて身体を温めるも、胸の奥が冷たいままのような、そんな感覚が残る。出勤前にコンビニでホットココアを買った。ホット缶を懐炉代わりに握りしめながら駅まで走る。ホームの冷たい空気に触れたココアから立った湯気が白む。飲みきれない熱さを覚悟して口にしたそれは、想像の数段下をいく生温さで、扱いに困る甘さが口の中いっぱいに広がった。時間にして僅か十数分の出来事だったが、わたしの半生を象徴しているように思えて仕方がなかった。いつまでも温かくいてくれると思っていたものは、わたしの手の中でいつのまにか冷たくなっていて、それでも表面的には温かいように見えてしまったから無邪気に口に含んで、そこでようやく取り返しがつかなくなっていることに気づく。粘度の高い甘ったるさを嚥下できないまま、今日がまた終わる。

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おわり